だまし合い

「吉武さんて、根が性善説っぽい」
と初めて言われて
そんなこと思ったことはなかったのだけど
きれいごとを支えに生きてるので
その通りかもしれません

ただ
別にそれが素敵だと思ってるわけじゃない
むしろ嫌悪してるけど
ほかにすがれるものが無いだけで

だから「根」がそうかと言われると
うーん
それってつくりものの私じゃないかなぁと思います


だいたいその人は
「そんな簡単に人を信用するとだまされるよ」
と私に忠告してくれたのだけど
本音を言うならその言葉
そっくりそのままお返ししたかった

無邪気ぶるのは私の癖
だまされちゃダメです



それにね
だますのと
だまされるのと
どっちが傷つくかって

他人をだましたら
結局傷つくのは自分だということを
私は知っていて



そしてむしろ
騙されるのは
実はそんなに悪いものじゃない

私はなんとなく
そのときだけでも私自身が心から楽しかったなら
それはそれで良いんじゃないかという気がするのです
もちろん
だまされ方にもよるんだろうけど





「こだわりとか無くて良いと思う」
と言ったのは私
「こだわると、人を傷つけます」

それに対して返ってきた意見が
「人を傷つけずにこだわることもできると思う 」

ごもっともです
と言いたいけれど


どちらも一理あって
つまり、こだわりを持つのはいいけれど
それを人に押し付けてはいけない
というのが正解でしょうか

でもそれってけっこう難しいのです
押し付けられたかどうかは
受け取る相手によって違うからです

私がこだわったせいで誰かが傷つくくらいなら
こだわりなんて捨ててしまえ
と思ってしまった

だけど
誰も傷つけずに生きて行くなんてたぶん
できないんだなぁ

や
本当はこだわるのが悪いと思ってるわけではないのです
ただ
人を傷つけずにこだわる方法はまだ模索中なのです



なんか
会話はあまりかみ合なかったけれど
いろんなことを考えた夜でした

おしまい